親が亡くなる前に遺産分割協議や相続の放棄ができるか?【後編】(第12回)

 こんにちは。司法書士・行政書士・ファイナンシャルプランナーの檜山大地です。

 前回から、生前に遺産分割協議や相続放棄ができるかについて、書かせていただいております。

 前回のコラムでは、以下のような事例を考えました。実際に相続のご相談を受ける中で、非常によくあるケースと言えます。

事例 私には父A、兄(長男)Cがおり、母Bは数年前に亡くなっています。私は弟(次男)Dの立場で、すでに結婚して実家を離れて暮らしています。父Aはまだまだ健康で元気に暮らしていますが、私は結婚して家を建てる際に父Aから多額の住宅取得資金を出してもらったので、もし父Aに万が一のことがあれば、父Aと一緒に暮らしている兄Cにすべての遺産を相続して欲しいと思っています。ですので、いざという時に兄Cの負担にならないように先に父Aの相続について相続人全員である兄Cと私で遺産分割協議をして書面に残すか、または、兄Cの負担にならないように先に私の方で相続放棄の手続きをしておきたいのですが、可能ですか。ちなみに、父Aの遺産は自宅の土地建物と預貯金のみで債務などはなく、私が相続放棄をすることや兄Cが遺産のすべてを相続することについては、父Aも兄Cも納得しています。

 相続が始まる前に遺産分割協議も相続放棄もすることができないということは、前編でお話しさせていただいた通りです。

 それでは、今回のようなケースで父Aの遺産についてすべて兄Cに相続させるには、どのような方法をとればよいのでしょうか

 大きく分けて、以下の3通りが考えられます。

①父Aが「自分の遺産はすべて兄Cに相続させる」旨の遺言を作成しておく

②父Aの相続開始後に兄Cと弟Dで「すべての遺産を兄Cが相続する」旨の遺産分割協議を行う

③父Aの相続開始後3か月以内に弟Dが家庭裁判所に対し相続放棄の手続きを行う

 今回のように遺産に債務などがなく、また、遺産分割協議の際に揉め事が起きづらいと考えられるような場合は、②の方法が最も簡便だと思われますが、個別の事例によって選択すべき方法が異なってきますので、注意が必要です。

 生前に相続対策をしておきたいというお声が多くある中で、よくあるご相談をもとに今回までのコラムを書かせていただきました。 

 今後も、よくある相続に関するご相談をご紹介できたらと思っております。

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