離婚による不動産の財産分与ーどんな税金がかかるの?ー(第21回)

 司法書士・行政書士・ファイナンシャルプランナーの檜山大地です。

 当事務所では、離婚協議書や離婚調停申立書作成支援などを通して、離婚に関する多くのご相談をいただいております。離婚の際、特に問題となるのが、夫婦で築いてきた財産を分け合う「財産分与」です。今回のコラムでは、不動産の財産分与に焦点を当て、司法書士やファインナンシャルプランナーとしての立場から、「財産分与の際にどんな税金が発生するのか?」について、一般的な解説をしていきたいと思います。なお、具体的な税金のご相談は税理士の先生や税務署等にお問い合わせをお願いいたします。

財産分与の対象となる財産と基本的な分け方

 婚姻中に夫婦間で協力して築いた財産については、その名義のいかんにかかわらず夫婦の共有財産となります。つまり、婚姻中に夫の給料が振り込まれた夫の名義の預貯金口座や、婚姻中に購入し夫の単独名義にした不動産といった財産であっても、妻が家事労働に従事し夫の日常生活・社会生活を支えていたなど、夫婦が協力して形成した財産と認められる事情があれば、それは財産分与の対象になります。無論、プラスの財産のみならず、借入金などのマイナスの財産も財産分与の対象となります。

 これに対し、夫婦の一方が婚姻前から所有する財産や、婚姻期間中であっても相続などにより取得した財産は、夫婦が協力して形成した財産とは言えず、原則、財産分与の対象財産とはなりません。

 どのような割合で財産を分けるかが問題となりますが、実務においては、特段の事情が無い限り、夫婦が2分の1ずつの持分を有するとされています。つまり、夫がサラリーマンで、妻が専業主婦の場合であっても、原則、妻には財産分与の対象となる財産の2分の1の権利があります。会社員である夫が給料をもらえるのは、妻の内助の功があったからであり、専業主婦も蓄財に貢献しているという考え方ですね。

不動産を受け取った人の課税はどうなるの?

贈与税

 財産を無償で譲り受けたのだから、贈与税が発生するのではと考える方もいらっしゃるでしょう。結論を言うと、財産分与の対象となった不動産の価額が社会的に見て妥当なもの(常識の範囲内)であれば、原則として不動産を受け取った人に贈与税はかかりません。ただし、以下の場合には贈与税が課税されます。

1.その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合

 この場合は、過当となる部分に贈与税が課税されます。財産分与時に一方があまりに多く分与を受けるような分け方だと問題になる可能性があるということですね。

2.離婚を手段として贈与税若しくは相続税の逋脱(ほだつ)を図っていると認められる場合

 この場合は、離婚により取得した財産に贈与税が課税されます。

登録免許税

 財産分与により、夫婦の一方から他方に不動産の名義を変更した際(所有権移転登記の際)に登録免許税という国税が課税されます。税率は、不動産の固定資産評価額の1000分の20(2%)です。

不動産取得税

 通常、不動産を取得すれば、最寄りの県税事務所等から不動産取得税の課税決定通知書が届きます。諸々細かい規定はありますが、原則、土地建物の固定資産評価額の3%(住宅以外の建物は4%)が不動産取得税として課税されます。

 しかし、婚姻中に夫婦間で協力して築いた財産の清算として不動産を譲り受けたのであれば、不動産取得税が減免されることがありますので、事前に県税事務所等に確認を取ってみましょう。ただし、婚姻中に夫婦の財産として築いた財産でなければなりませんので、例えば配偶者が相続した不動産を財産分与として取得した場合は、不動産取得税の減免対象とはなりません。また、慰謝料として不動産を取得した場合も減免対象外です。

固定資産税

 不動産を保有していれば、毎年かかるランニングコストです。

不動産を譲り渡した人の課税はどうなるの?

譲渡所得税

 不動産を譲り渡した人の立場になって考えれば、「代金も受け取っていないのだから、税金なんてかかるはずがない」と感じる方が多いのではないでしょうか。実は、財産分与により不動産を譲り渡す側は、不動産を譲渡することで、財産分与をする義務が消滅するという経済的な利益を受けるということになるため、所得(値上がりによる増加益)が生じれば、分与した時の不動産の価額に譲渡所得税が課税されます。

 どれくらいの税金がかかるのかについてですが、不動産を譲渡した年の1月1日において、不動産を所有していた期間が5年を超えているか否かで変わってきます。所有期間が5年超の場合は、所得税15.315%、地方税5%が課税されます。一方、5年以下の場合は、所得税30.63%、地方税9%が課税されます。無論、譲渡所得税は不動産の値上がりによる増加益に課税されますから、譲渡する不動産を取得した時より値下がりしていた場合には、所得が生じませんから税金はかかりません。譲渡所得は、基本的に譲渡収入の金額(分与した財産の時価)から必要経費(取得費+譲渡費用)を差し引いた金額となります。

 また、財産分与として居住用財産(譲り渡す側が現に居住の用に供している家屋やその家屋とともに敷地)を譲渡した場合(居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間の譲渡を含みます)は、3,000万円の特別控除が受けられます。簡単に言うと、居住用財産を譲渡する場合で3,000万円以上値上がりしていなければ税金はかからないということです。さらに、譲渡した年の1月1日において、所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合には、3,000万円控除後の譲渡益に対する課税についても税額がさらに軽減されます(居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率の特例)。居住の用に供している家屋とは、その人の生活の拠点として利用している家屋であり、その人の日常生活の状況等、諸般の事情を考慮して判断されます。仮に夫婦が別居し、その家屋に所有者が居住していない場合であっても、①所有者が従来居住の用に供していた、②所有者と生計を一にする親族が居住の用に供している、③所有者が現に生活の拠点として利用している家屋がその所有者の家屋ではないこと等の要件を満たせば、特例を受けることができます。

 居住用財産の3,000万円特別控除や居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率の特例は、配偶者、直系血族、生計を一にする親族等、特別な関係にある者への譲渡には適用されないため、離婚に先行して財産分与だけをしてしまうと、特例の適用を受けられない恐れがありますので要注意です。

 今回は離婚に伴う不動産の財産分与をする際の税金についてみていきました。まず大切なのは、あらかじめ税負担を念頭に置いて話し合いをすることです。離婚に伴う財産分与は、財産をどう分配してどちらのものにするかにばかり目が行きがちで、財産を取得した後の税金や手続については軽視される傾向があります。離婚時、財産を清算する際には、先を見通した広い視野で話し合いをしたいところです。

 特に、譲渡所得税や贈与税については、専門的な知識が必要になることが多いため、税務署や税理士の先生等にご相談されることをおすすめします。

 

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